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聖地巡礼記1
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初めての湖

  第1回 聖地巡礼記 ダイジェスト

 1990年の夏、私は友人二人とヨーロッパを二カ月にわたって旅行しました。
 いわゆる貧乏自由旅行というやつです。就職活動と卒論を前にした卒業旅行でもありました。
 日本からの宿の予約や手配などは一切なし。三年近くかかって貯めた費用で、トルコから西へ向かう旅をしたのです。
 主な訪問国はトルコ、オーストリア、イタリア、スイス、スペイン。

 そしてその最後の目的地がイギリスの湖水地方でした。追記はこの色です。

(90.08.16) 
一泊目のウィンダミアの宿(B&B)だけは前泊のスコットランドのグラスゴーのインフォメーションで手配してもらいました。

 まず一泊目はボウネス・オン・ウィンダミアに泊まります。「コマドリの巣」という意味の名前のこじんまりした宿です。

 ランサムのリオの絵の面影を残しているボウネスの桟橋は、日本より木造のボートの占める割合が多いので、美しい風景でした。

 近くのナショナルトラストの売店で、ランサム関係の書籍を買い漁りました。

Arthur Ransome and Captain Flint's Trunk

Coots in the North

Arthur Ransome's Lakeland

(90.08.17)
 曇り、ときどき雨。観光船でアンブルサイドへ行き、町を見て回りました。本屋に行ったりして、気分はすっかり「スカラブ号の夏休み」のドロシア。
 ここにもナショナルトラストの売店がとても狭い橋の上の家にあり、ピーターラビットのグッズも売っていました。
 バスに乗ってコニストンへ。美しい田舎道のドライブでした。

 コニストンでは予約なしでユースホステルに泊まりました。ただ、受付が三時か四時からで、それまで閉まっていたので、ちょっと雨が降っていたし、心細かったですね。

 もっともそれを待ってる間、近所をぶらぶら歩き回るだけでもとても楽しかったですけど。防水のカラフルな雨具を来て歩き回る楽しそうな人ばかりに会いました。

 ユースホステルの入り口の近くに配達された食料らしい段ボールが積んであったのですが、一番上の箱にマジックでハリ・ハウ(スペルはちょっと違う)と書いてあり、私は感動して写真をとってしまいました。ユースホステルの辺りの地名のようで、地図にものっていました。

 ユースホステルに使われている建物、お屋敷の名前で、ランサムはそれを物語に使ったのだそうです。

 

 夕方はコニストンの周辺のフットパスを散歩し、町のスーパーで買い物をして、それから桟橋に行きました。レンタルのボートがたくさん係留してありましたが、もう八月も下旬でしたので、実際に乗っている人は全然見かけませんでした。
(90.08.18)
 次の日はとてもよい天気、カンチュンジュンガ(Old Man of Coniston)に登りました。

 のぼりながら振り返って見たコニストン湖

山頂への道沿いにあるLower Waterのほとりでちょっと休憩。
Lower WaterとLever Waterを見下ろす。
Oldman頂上 オールドマン山頂のケルンの脇からコニストン湖を望む。
 山頂ではケルンの脇で羊に襲われる観光客を目撃しました。羊の届く高さで物を食べないようにお勧めします。結構獰猛です(笑)。
 オールドマンにただ登って下りるだけだったら半日あれば充分ですが、やはり一日時間をとって回りを歩き回ることをお薦めします。

 但し、尾根伝いのコースは、結構足場も悪く、そんなに人も歩いていませんから気を付けたほうがいいでしょう。どちらにせよ登るなら軽登山靴ぐらいはあったほうがいいと思います。

 私はせっかく日本で買っていった靴をトルコで友達の車のトランクに忘れてしまい、ザルツブルクの専門店で買い直しました。

Witherem  一日がかりの尾根回りコースです。途中、鉱山あとの谷も通ります。かなり登りはきついですが、道は分かりやすいですし、眺めは最高です。箱庭のような湖水地方が一望できます。

 ただ、方位磁針と地図は必ず持ってください。高さは筑波山ほどの山ですが、決して侮れません。かなり寒くなりますし、霧なんて出たら危ないです。フットパスから外れないように、と指示があります。やはり足場の悪いところがたくさんあるようです。

 (90.08.19)
 やはりハイライトだった次の日は、しとしと霧雨。やはり湖水地方の天気は変わりやすく、地元の人に聞いても次の日の天気はよく分かりません。雨は覚悟したほうがいいと思います(特に8月)。

 この日は三人掛かりでボートを漕ぎ、ピール島に上陸する予定でしたが断念、ゴンドーラという復元された観光蒸気船で湖を遊覧しました。。

霧雨に濡れるコニストン湖の風景(東岸)

(ブラントウッド、テントロッジの辺りか?)

コニストン湖の風景(西岸)
ピール島(ヤマネコ島)も見えましたが、もう少し近くに、という願いも虚しく、船は引き返してしまいます(泣)
南の湖尻方面を望んで、ピール島(ヤマネコ島)が1番大きく見えた瞬間。
しつこく撮ってます(笑)
(ゴンドーラのボイラー)
 その日のうちにバスでケズウィックへ移動しました。グラスミア、サールミア経由の道ですが、これもよいドライブコースです。

 この日の宿は失敗でした。前日ユースホステルから電話して、某地球の歩き方に載っていた宿を予約していったのですが、歩いても歩いても着かない。なんと車での移動時間だったのです。宿はお湯があっという間に出なくなる以外はとてもよかったけど、はっきり言って時間の無駄でした。

 かわりに、目的地の一つであったCastleriggのストーンサークル(町から3〜4キロある)まで簡単に歩いていけましたけど……
 かすむ山並みを遠くに望み、とても雰囲気のある場所でした。
(90.08.20)
 翌日はダーウェントウォーターの観光。

 観光船から、「お、これがダリエンだ!」という岬が見えます。

 映画のダリエンのシーンの撮影で使われた場所だそうです。

 途中、湖の南端近くで降りて、名所アッシュネスブリッジを見学。近くでボランティアがフットパスを補修しています。湖水地方ではこういった若者の姿をよく見かけました。
 そのままフットパスを辿り、Watedlathの渓谷の湖を訪ねます。素敵なハイキングコースです。湖は釣りの好きな人なら喜びそうなところです。

 途中の道には崖から転がり落ちてきて斜めに止まっている大岩があり、登れるようになっていたりします。

 帰りは同じコースを辿り、今度は船には乗らず湖畔の道をのんびり帰りました。

 ダリエンに寄ったのもこのときです。

 松の根がたくさん出ていて、狭くて歩きにくい場所でした(ダリエン)。

 ケズィックの町でお土産を漁ります。ジャムとかマスタードを買って帰りました。

 翌日はロンドンでバレエのチケットを買ってあったので、帰りました。

 (湖水地方の北の入り口、ペンリス経由)

 実質わずか五日の旅でしたが、二か月近い旅行の最大の収穫であったことは間違いありません。

旅を振り返って

 反省点はと言えば、同行者二人のうち一人しかランサムを読んだことがなく、結構振り回してしまい、喜びを分かち合えなかったことでしょうか。ただ二人とも歩くのが好きで、景色はとても楽しんでもらえました。

 ウィンダミアからコニストンへの移動は、ニアソーリーからホークスヘッドというコースも考えましたが(エスウェイトウォーターとホークスヘッドのグラマースクールが見たかった)、ポターの博物館が閉館日だったため、断念したような記憶があります。

 旅行の最後の部分で、余分な金がないのに、イラクのクウェート侵攻のあおりでポンドが急騰し、非常に懐が心細い旅でした。虎の子の壱万円札が30ポンドにしかならなかったあのショックは今も忘れられません。イギリスの滞在費用のほとんどをポンド立てのT/Cでもっていくという先見の明がなければ、さらに悲惨なことになっていたでしょう。

 私はこのとき、二週間イギリス国内を歩き回りましたので、ブリットレイル・フレキシーパスを購入しました。移動全てはカバーできないので、一部長距離バス、いわゆるコーチを使っています。

ダイジェスト
(90.08.16-08.20)
暫定版
(98.07.11-07.31)
ハネムーン
(99.07.04-07.14)
すみません、ようやく
見られるようにはなりました
すみません、
ただいまお直し中です。
すみません、
まだ完成してません(^^;

 

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